自然エネルギーを生かす家づくり

四季のある日本の気候の中で、一年を通じて快適な温熱環境の中で暮らすためには、自然の光と風を上手にコントロールすることがとても重要です。太陽の高さは季節と地域によってかなり異なり、最も太陽が高くなる夏至と最も低くなる冬至とでは、太陽光の角度は約50度も違います。滋賀県では、夏至と冬至の日では太陽の入射角に47度の差があります。また、南北に長い日本の国土の中で、夏至の南中高度は北の札幌で72度、北回帰線に近い石垣島では89度になります。

太陽の光が厳しい夏は古い日本家屋にならって、深い庇や簾を設けて直射日光を上手に遮るようすると室内の温度上昇を和らげることができます。また、夏に葉の茂る広葉樹を開口部の前に植えることで、太陽光を遮ることができます。

冬は南側の大きな開口部から低い高度の太陽光を室内の奥まで入れるようにしておけば、夜まで暖房エネルギーに頼らずに過ごすことも不可能ではありません。この時、広葉樹は秋に落葉するものを植えておくと太陽光を遮ってしまう心配もありません。建築的工夫に加えて庭の植栽も工夫すれば、より効果的です。

近年はエアコンなどの空調機器に頼り、昔の家にあった工夫が忘れられているように思いますが、自然の光や風を上手に活用すると、冷暖房エネルギーに極力頼らない暮らしを実現できます。

多くの家は建てたときが最も良くて、生活が始まると少しづつ満足度が下がっていくことが一般的ですが、光や風といった自然の恵みを活かした家は、住み心地においても、エネルギー消費の面においても、住んでからその本当の良さを感じることのできる家になります。家を建てる時は、四季の変化と地域の気候風土を考えて建てましょう。