パッシブデザインとは

パッシブデザインとは自然、環境がもつ光や風、雨水、地熱などを上手に利用しながら建物の計画を決めていくことでエネルギー消費を抑え快適な生活環境や室内気候をつくろうとするものです。

パッシブデザインは建物を自然環境から遮断された空間ではなく、常に外と応答しているものと考えることから始まります。春夏秋冬と変化する気候の中で、それぞれの長所を生かし短所を補うことが四季のある日本のパッシブデザインの特徴で、更に南北に長い日本では地域の気候の特徴をつかんで計画をしていかねばなりません。

室内の温熱環境を機械やエネルギーに依存するのでなく、地域の気候や風土を踏まえ、周辺環境や使用する材料、間取りや断面の計画を考え、光や風、雨水や地熱などを上手に利用するとエネルギー消費を抑えながら快適な室内気候をつくることができます。

室内の温熱環境は外部環境と熱的に関係しています。
「断熱」とは文字とおり外部の熱が室内へ入ることを断つこと
「気密」とは空気が熱を持って出ていくことを遮ることです。
「蓄熱」とは家の内部に熱を蓄えること
「集熱」とは外部の熱を集めることをいいます。
この4つのバランスで室内のおおよその温熱環境は決まってきます。

そこに、熱を伝える三要素である「伝導」「対流」「放射」を加えて効率よく室内気候を快適にしていく考え方が大切です。
冬であれば自然環境からの得ることができる熱を集め、その熱を蓄え、その熱を逃がさないというものです。
家づくりは機械やエネルギーにお金をかける前に、高気密高断熱にお金をかける前に、まずするべきことはパッシブな工夫で家を快適な温熱環境にすることを考えるべきです。

近年、住宅はデザインの流行なのか工事費の削減からなのか、軒の出がゼロという住宅を数多く見かけます。しかしこれは真夏に厳しい太陽の光が室内に入ることを覚悟しなければなりません。

こういう家で高気密高断熱化して、パッシブな工夫を見落としたままにすると夏の生活はたいへんなことになってしまいます。

パッシブデザインを意識して家をつくるかどうかは、家の住み心地に大きく影響するので、家づくりを検討中の方々は知っておいた方がよいと思います。