壁体内結露の話

壁体内結露
冬暖かい家ほど壁体内結露を招きやすくなります。昔の古い家は長持ちしている一方で、高度経済成長期以降に建てられた家は伝統的な知恵を活かすことなく建てられたため、その寿命は20~30年になってしまいました。特に、北海道や東北などの寒冷地で壁体内結露に配慮されていない家は、短命化の傾向が顕著なようです。壁体内結露は断熱性能を低下させ、木材を腐食させる腐朽菌やシロアリの発生につながります。いくら耐震性の高い家を建てても、床下の土台や壁内部が腐っていては、地震に耐えることはできなくなります。

壁体内通気工法で内部結露を防ぐ
壁体内通気工法とは壁内部の断熱層と防水層の間に通気層を設けることで、湿度の高い空気を外に排気して壁内部の結露を防ぐ工法です。建築基準法というのは、建物の最低限の基準が決められた法律で、家の寿命に影響する壁体内結露を防ぐこの工法は全ての住宅に義務化されている訳ではありません。冬も暖かい山手工房の家では品格法以前の早い段階から、この工法を採用して全棟で実施してきました。安心・安全に暮らして長い寿命を持つ家にするためには、この工法が欠かせません。

防湿層と透湿層と気密層をキチンと
室内の湿気が壁内部に侵入することを防ぐ層を防湿層と言います。
壁内部の湿気を外部に排気するための層を透湿層と言います。透湿と防水の両方の効果を持つ透湿防水シート(タイベックなど)がその役割を担います。
壁体内結露を防ぐ基本は、壁内部の湿度を高めるリスクを排除すること。
そのためには、断熱材の内側に防湿層をキチンと連続させ壁内部への湿気の流入を防ぐと同時に、
断熱材外側の透湿層を経由して速やかに通気層へ排気するための確実な工事が重要です。
また、湿気が流入する数値を下げ、排気する数値を上げるために透湿係数に優れた素材を採用することも大切です。

山手工房がつくる家では、更に柱の外側と通気層との間に気密層を設けています。
これらにより、壁体内結露と木材腐朽の問題を解消し、断熱気密性能を高いものとしています。
これは、新住協の鎌田紀彦氏が開発した「新在来木造構法」と言われる工法です。

壁体内通気工法のもうひとつのメリット
地球的な規模で進む環境問題への対応として、長い寿命を持つ家づくりと化石燃料に極力頼らない家づくりは、我々に課せられたミッションと考えている中で壁体内通気工法には冬の結露を防止するだけでなく夏にもメリットがあります。夏の過酷な日差しにより直射を受ける南面や西面の外壁は熱を蓄えます。質量の大きいモルタル外壁はこの傾向が顕著で、外気温のピークが午後二時頃であるのに対して、室温は外壁の放熱の影響を受け、西日を受ける時間帯がピークとなります。壁体内通気工法を採用していると外壁から放熱する熱が排気され、室内に熱がこもらなくなります。山手工房では快適な温熱環境の家をつくるために、この効果に着目して屋根にも通気層を回して、夏も快適な暮らしができるように配慮しています。