和魂洋才と新旧融合
「和風の家を建てたいから」と言って山手工房に来られるお客様は少なくありません。しかし、我々としては和風の家を作っているつもりは全くなく、山手工房の家に、「和」を感じられるのは、分譲マンションや建売住宅が使用している新建材と呼ばれる既製品の外壁、壁紙、フローリングを使用せず、無垢の木と自然素材をベースに手技を用いて家をつくっているからだと考えています。
「和と洋」「西洋と東洋」などの地域境界線や「現代的と復古的」「先進と伝統」などの時間軸に捉われることなく、和の伝統的な知恵を大切にしつつ、新しいモノも積極的に取り入れる姿勢が生み出す中庸性に山手工房の特長があります。
例えば、深い軒の出や光をコンロールする障子・調湿効果のある和紙・空間を仕切る引戸などの理にかなった日本建築の伝統を生かす一方で、ドイツ製のエコ壁紙、断熱性に優れた北米の窓など、いいものはこだわりなく採用します。また、今の時代に合わせた合理的な考え方を持ちながらも、キッチンや浴室を非合理とも思える手技でつくるのは、既製品では得ることができない機能性や素材感が生まれ長く愛着を持って使えるからです。
この時、大切になるのはバランス。
相反する性質を持つものを上手に用い、調和、発展させることで互いの良さが引き出され、そこが山手工房のオリジナリティを形づくっているように思います。
古いものばかりを無条件に肯定しているところに進歩はなく、新しいモノを迎合しようとも思いませんが、時代の風を掴み進化していかなければならない中で、「和洋」「新旧」などの地域性や時間軸といった既成の枠組みを超える組み合わせの中で生まれ育っていくものが次の時代の伝統になります。
長い好みと長い必要と長い寿命に応える家をつくるために、冷静かつ客観的な目を磨くことで、永く住み継がれる家が出来上がります。