建築家と取り組むスタンダードハウス
「現代町家」は、かつての町家に学びながら、現代の町家を各地につくろうという全国的な運動です。建築家・趙海光氏が考案した明快な設計ルールにより、確かな構造と美しいデザインを兼ね備えた家です。
湖国・現代町家
現代町家は、歴史的な町家の因子を現代の町家として活かします。滋賀におけるこの取り組みを、「湖国・現代町家」と名づけました。外観は伝統的な町家をモチーフに、焼杉や格子を外壁に取り入れます。湖国の建築文化の一つでもある焼杉と格子を今の時代に合わせてモダンに再現した永い好みに応える家です。単なる懐古主義ではなく、現代にあった町家が「湖国・現代町家」です。 (参考引渡し価格:35坪2700万円~ 設計:趙海光 *外構工事別途)
滋賀の気候・風土に合った家づくり
滋賀の気候・風土の特徴は、県土の6分の1を占める琵琶湖の存在が大きく影響しています。県内は内陸性気候の範囲にありながら、海洋性気候の特徴である風が一年を通じて吹き、その風は「湖陸風」と呼ばれています。建築予定地と琵琶湖との位置関係を読み込み、風が吹く方向や時間によって変化する風の向きを考慮に入れて、窓の大きさや種類を決めて家の中を風が通り抜けるように計画します。
昔の町家と現代の町家
むかしの町家を町家たらしめていたのは、接道性と接隣性です。道に接し、隣家に接して、隙間なくびっしりと建っています。
屋根・軒・格子を連ね、それが調和を生み、独特の美しい景観をつくり出していました。しかし、現在はそれと同じようには建てられません。道路後退や隣地境界など、今の建築法規に従わなければならないからです。
現代町家は、この部分に注目し、空地を部屋の一つに取り込む設計を考え出しました。
現代町家の設計ルール
現代町家のスケルトン(骨格)は、120×240ミリの平角材です。同一の寸法の材を柱と梁に用います。
この平角スケルトンによって構成される「ベース」と、水廻りや階段、玄関などからなる「ゲヤ」を組み合わせて設計します。
一坪里山をつくろう
これらのベースとゲヤを組み合わせると、敷地に「空地(くうち)」が出来ます。その空地も一つの部屋と考え、そこに「一坪里山」をつくろう、と呼びかけています。
いま、在来種の草花が次々に絶滅危惧種に加えられています。外来種によって駆逐されたり、開発や農薬によって姿を消しているのです。一坪里山は、地域の在来種の植物を植え育てることで、その保護育成を行いながら、植物の多様な変化を楽しもう、という取り組みです。
マニュアル化と工夫の余地
滋賀の森林は、琵琶湖の豊かな水を育み、県土を保全して県民の生活や財産を守るなど、極めて重要な公益的機能を有しており、琵琶湖や県民の暮らしと切り離すことができない貴重な財産です。湖国・現代町家は、琵琶湖と森林の関係を重視して、琵琶湖を取り囲む山々に植林されたヒノキやスギを積極的に活用します。
「いいものを作って、きちんと手入れして。長く大切に使う」
少子高齢化の急速な進展や環境問題の深刻化などの社会情勢の変化に伴い、住宅は「量」の確保から「質」の向上が求められ、住生活基本法では、ストック重視の政策に転換することが定められました。
住宅を長期にわたり使用することにより、解体に伴う廃棄物を抑制し、環境への負荷を低減するとともに、建替え費用の削減によって負担を軽減し、より豊かで、より優しい暮らしへの転換を図ることを目的として、平成21年に、長期優良住宅の普及の促進に関する法律が制定されました。
住宅を長期にわたり良好な状態で使用するためには、物理的耐用性及び社会的耐用性に優れた住宅とする必要であるほか、省エネルギー性能やバリアフリー性能など、次世代に引き継ぐべき性能を備えていることや住環境への配慮が求められます。
山手工房がつくる「湖国・現代町家」は全棟長期優良住宅の認定を受けます。
1948年、青森県生まれ。法政大学工学部建築学科卒業。1980年に(株)ぷらんにじゅういちを設立。1991年に岐阜県金山町の大工職人衆と「台形集成材一座」を結成し、国産材による現代型木造住宅の開発と普及に努める。現在、スタンダードハウスの運動「Cho Standard──現代町家」の展開を、全国の町の工務店とともに進行中。